概要
/ 玉城知事は圧勝?
県内の市長選では、オール沖縄の推す候補が、名護、南城、石垣、沖縄で4連敗を喫していました。さらに、7月10日投開票の参院選沖縄選挙区では、現職の伊波洋一氏が、3000票弱の僅差で辛勝していました。しかも、この選挙では保守新党である参政党候補が2万2000票余り獲得していますから、保守票全体ではオール沖縄を上回っていたとも言えます。 今回の知事選でも、参政党は候補擁立を検討していましたが、見送ったということです(どう影響? 沖縄県知事選に参政党は独自候補擁立せず 自民党沖縄県連からは応援要請も・・・)。なお、参政党は保守的要素を持ったオーガニック信仰の特殊な政党だという意見もあります(参政党とは何か?「オーガニック信仰」が生んだ異形の右派政党)。いずれにしても、保守票を一本化するという点では、参政党の候補擁立見送りは、それなりに意味を持つはずでした。 しかし、下地幹郎氏が知事選に立候補したことで、保守票の一本化は実現しませんでした(下地氏、沖縄知事選に立候補へ 前衆院議員 きょう表明方針)。下地氏は、自民党、国民新党、日本維新の会に所属したことがあり、2014年の知事選では、7万票近くを獲得し、翁長雄志氏大勝の一因にもなりました。今回も、下地氏は5万3000票余りを獲得していますから、下地氏の出馬表明の時点で、知事選の勝敗は決していたとも言えます。 ただ、2014年には、オール沖縄と保守票の差は3万票ほどだったのが、今回は1万票ほどに縮まっています。一方、7月の参院選では、保守票(自民・公明、参政、N党、幸福実現)に対し、オール沖縄は3万票以上の差を付けられたことを考えれば、今回の知事選では、オール沖縄の退潮に一定の歯止めはかかったとも言えそうです。 また、下地氏は今回の知事選では、辺野古の軟弱地盤の埋め立て阻止を訴えていましたから(馬毛島移転で辺野古阻止 県知事選、下地氏が政策発表)、辺野古埋め立て反対派は圧倒的多数を占めたという見方も出来なくはありません。
先島、離島、大東では保守が優勢 今回の知事選の開票所別の各候補の得票は次のようになっています(沖縄県知事選)。 青で囲んだのは、玉城氏が過半数を獲得した投票所です。水色で囲んだのは、玉城氏が過半数には届かなかったものの1位を獲得した投票所です。 赤で囲んだのは、佐喜真氏が過半数を獲得した投票所です。オレンジ色で囲んだのは、佐喜真氏が過半数には届かなかったものの1位を獲得した投票所です。 全体的傾向としては、沖縄本島では玉城氏が優勢で、先島諸島(八重山諸島、宮古島諸島)、沖縄離島、大東諸島では、佐喜真氏が優勢となっています。八重山諸島の石垣市と宮古島諸島の宮古島市では、玉城氏が得票1位となっていますが、保守票は総数では過半数を占めています。つまり、保守候補が一本化出来れば、赤で囲んだ投票所となっていたはずです。 また、普天間飛行場のある宜野湾市では佐喜真氏が過半数を獲得しています。一方、辺野古のある名護市では、埋め立て反対の候補の得票総数は過半数を占めています。 2018年の知事選でも同様の傾向が見られます(沖縄県知事選)。このときは、8月に翁長知事が病死し、その遺志を受け継いだとする玉城氏が圧勝しましたが、先島諸島(八重山諸島、宮古島諸島)、沖縄離島、大東諸島では、佐喜真氏が優勢となっています。また、宜野湾市では佐喜真氏が過半数を獲得し、名護市では、やや接戦となっています。 2014年の知事選でも同様の傾向が見られます。このときは、現職の仲井眞氏が公約に反して、辺野古埋め立て容認に転じ、それに反発した自民の翁長氏が埋め立て反対を唱えて立候補し、革新陣営が保守の翁長氏を支援してオール沖縄が成立しました。さらに、維新の下地氏が埋め立て容認を唱えて参戦するという複雑な様相となりました。 結局、保守票は3分する形となり、オール沖縄が埋め立て容認派に3万票余りの差をつけ勝利しました。なお、宜野湾市では埋め立て容認派が過半数を占め、名護市ではオール沖縄が過半数を占めています。 |